タイムカードの氏名を、AIに渡さずに読み取れるか

2026-11-05

送るもの・送らないものの図。番号と氏名の表、塗る前の元の画像、元のファイル名、名前を付けた結果のCSVは事務所のパソコンの中だけ。サーバとAIに届くのは、番号、氏名欄を黒く塗った新しい画像、年月と期間・事業所。塗る位置がずれると名前は写ったまま送られる
送るもの・送らないもの(架空のカードの例)

読み取れる。タイムカードの写真の氏名欄を、事務所のパソコンのブラウザの中で黒く塗り、番号に置き換えてから送れば、サーバとAIに届くのは、番号と、日付・時刻が書かれた画像だけになる。結果は番号で戻ってきて、名前はパソコンの中で付け直す。

ただ、塗る位置がずれると、名前は写ったまま出ていく。そこを確かめるのは人の目だ。この記事では、何を送って何を送らないか、それを自分でどう確かめるか、架空のカード10枚で試したときの数字、まだ弱いところを順に書く。

名前ごと送っていた

顧問先から届くタイムカードには、顧問先の従業員の名前が書いてある。読み取りに外のAIを使うなら、普通はその名前ごと画像を送ることになる。

うちの勤怠OCRも、少し前まではそうだった。プライバシーポリシーには「記載された従業員名」がAIに送られる、とそのまま書いていた。社労士事務所に使ってもらう話をするなら、ここは避けて通れない。

名前を消す作業は、パソコンの中でやる

ネットのサービスなのに、なぜ名前が出ないと言えるのか。インターネットから届くのは、画面とプログラムだけだ。名前を消す作業は、そのプログラムが事務所のパソコンの中で行う。宅配で届いたシュレッダーを事務所で使っても、書類が宅配業者に渡らないのと同じだ。

流れは5つ。

  1. 番号と氏名の表を作る(Excelの氏名1列を貼り付けてもいい)
  2. カードの画像に番号を振る
  3. 氏名欄を黒く塗る。印鑑・サイン・裏面の記入も塗る場所に指定する
  4. 送る画像を全枚、目で確かめてから送る
  5. 番号だけで戻ってきた結果に、パソコンの中で名前を付ける
送るもの・送らないもの
項目送るもの送らないもの
画像氏名欄を黒く塗って作り直した新しい画像。下に元の字は残らず、撮影場所などの付帯情報も付かない塗る前の元の画像
氏名なし。画像の上端に印字するのは番号と表・裏番号と氏名の表。ブラウザの中だけで使い、ページを閉じると消える
ファイル名番号に置き換えたもの元のファイル名
結果(戻ってくるのは番号だけの結果)名前を付けたCSV。パソコンの中で作り、送らない

自分で確かめる方法

こちらが「送っていません」と言うだけなら、信じてもらうしかない。それでは社労士の先生に勧めにくい。だから、確かめ方を4つ用意した。

自分で確かめる4つの方法
確かめ方分かること手間
画面を開いたあと、Wi-Fiを切る(LANを抜く)番号表を作る・番号を振る・塗る・名前を戻す、がそのまま動く。名前を扱う作業が通信に頼っていない1分
送る前の確認画面を見る送る画像(塗ったあと)を全枚見てからでないと送れない。何が出ていくかを送る前に目で見られる画面に出る
開発者ツール(F12 →「ネットワーク」)を開いたまま使う名前を扱う間は通信が出ない。送るときに出ていくのは番号と塗った画像5分ほど。IT担当の方向け
画面に付けている通信の制限(CSP)画面のプログラムは、AkariLabのサーバ以外へ通信できない。ブラウザ自身が止める作り側の約束

いちばん早いのは最初の方法で、1分で終わる。面談の場でも、その場でやって見せられる。

通信が要るのは、画面を最初に開くときと、AIへ送って読み取るときの2つ。読み取りはAIを使うので、送るときだけは通信する。

架空のカード10枚で試した

名前を塗った画像でも、日付と時刻がちゃんと読めるのか。2026年11月5日に、自分で作った架空のタイムカード10枚(10人、10月の1か月分、310行)を、塗って番号を印字した画像だけにして読ませた。

架空のタイムカード10枚・310行を読ませた結果(2026年11月5日、手元で実行)
回正解と一致した行出てこなかった行メモ
1回目(10:19)247 / 310622枚はAIの返事の形が崩れ、1行も出なかった。値が違ったのは1行
2回目(10:39)309 / 3100崩れたときに読み直す処理を入れて、同じ画像で再実行。違った1行は画像の下端で打刻が切れていた日で、要確認の印が付いた

1回目は、2枚ぶんが丸ごと出てこなかった。AIの返事の形が崩れて、こちらが読めなかったためだ。正直、これを見たときは少し焦った。崩れたときに読み直す処理を入れて、同じ画像でもう一度通したのが2回目になる。

2回目で値が合わなかった1行は、画像の下の端で31日の打刻が切れていた日だった。この行には「要確認」の印が付いた。

数字の読み方には注意がいる。カードは自作なので、実物の撮影のゆがみやかすれは再現しきれていない。手元で動かしたので、画像の前処理も動いていない。回数も2回だけだ。これで実物でも同じ数字が出る、とは言えない。

まだ弱いところ

最後の点は、まだ答えが出ていない。お試し先の事務所に見てもらうのはこれからで、そこで聞いてから決めたい。

これで個人情報ではなくなるのか

そうは考えていない。番号付きの画像は、番号表を持っている事務所から見れば、個人データのままだ。こちらの理解では、読み取りの依頼は個人データの取扱いの委託として扱うことになる。利用規約の第6条の3に、委託の範囲と削除の約束を書いた。

それでも、AkariLabのサーバと読み取りに使うAIに、氏名そのものは渡らない。万一のことが起きたとき、出ていくものが少ない。いまのところ、この取り込みで言えるのはそこまでだ。

勤怠OCRのページに、送るもの・送らないものと、よく聞かれる22の問いをまとめている。読み取りがどこで間違うかは、タイムカードをAIで読み取ると、どこで間違うのかに書いた。