朝の内省で感情の蓋が開いたまま、現場に出てしまった日

2026-05-21 · note 掲載版

朝の内省で感情の蓋が開いたまま、現場に出てしまった日

朝に蓋が開いたまま、現場へ出てしまった

5月6日の朝、ジャーナリングをしていた。 元カノとの関係、いまの伴走者との関係、そのあいだで自分がどう育ってきたかを書き出していた。

「不安は消えた。いくつか見方を置けるようになった。不安で関係を潰すことはなくなった」と書き終えた瞬間に、もうひとつの不安が顔を出した。 関係が進んだときに、また不安をぶつけてしまうんじゃないか、という不安。 不安に対する不安。 それを書き留めながら、少し涙が出かけた。

そのまま、現場に出た。

日中、勤務中に動揺と焦りが来た。 特定の出来事があったわけじゃない。 ふと、震えるような感覚が背中のあたりに走って、手の先がうまく動かない時間が数十分続いた。 業務はこなしていたが、内側はずっと揺れていた。

夜、状態を書き出して気づいた。 朝のジャーナリングで、自分の深いところに触れていた。 触れたあと、何の閉じる作業もせずに、そのまま現場の動線に乗ってしまった。 感情の蓋が開きっぱなしのまま、人と接していた。

これは、新しいパターンだった。 深い内省は、必ず勤務前に「閉じる時間」を入れる。 日記の末尾にそう書いた。

開けっぱなしの蓋がしんどい、という発見

ジャーナリングを始めて1年以上経つ。 深く掘る日もあれば、浅く流す日もある。 浅い日は、何の問題もなく現場に行ける。

問題は、深く掘った日のほうだった。 掘った直後の自分は、表面の皮膚が薄くなっている感じがする。 普段なら気にならない店長の口調、後輩の沈黙、エリアからの連絡。 そういうものに、いつもより1.5倍くらい反応してしまう。

これまでは「気分が乗らない日」で片付けていた。 でも5月6日は、明確に「朝の内省と日中の動揺がつながっている」と書き出すことができた。 ジャーナリングの解像度が上がった分、自分の身体に何が起きているかも見えるようになっていた。

掘ったらそのままにしない。 掘ったあとに、いったん埋め戻すか、土を被せるか、せめて蓋を仮で閉める。 そういう作業を入れないと、現場が持たない。

これは自分が弱いという話ではないと思う。 ただ、構造の話だった。

30歳のとき、初対面で蓋を全部開けられた

蓋を閉じる技術が必要だと書きながら、思い出した人がいた。 自分が30歳のときに出会った、年上の経営者。 当時その人は51歳だった。

初対面で、こう言われた。 「オマエ薄っぺらだな」。 「薄っぺらなオマエが人前で何ができる?」。 「自分の家族も幸せにできない奴が偉そうなこと言うな」。

立っているのがやっとだった。 20年現場をやってきたつもりでいた自分の表面が、その場で剥がれた。 触れられたくない場所を、初対面の人にいきなり開けられた感覚だった。

普通なら、そこで離れる。 怒鳴られて、否定されて、家族のことまで言われて、近づく理由はなかった。

でも、めちゃくちゃ怖かったからこそ、近づきたいと思った。 逃げないで、もう少しこの人の言うことを聞いてみたいと思った。 蓋を開けられた痛みより、開けてくれた人の輪郭のほうが強く残った。

そこから付き合いは3、4年続いた。 メンターになってくださいと頼んで、なってもらった。 あの時があるから今の自分がある、と日記に書ける程度には、その後の自分は変わった。

掘る技術と、閉じる技術はセットだった

2024年9月の自分は、掘ることだけに必死だった。 執着を見るのが怖かったし、見たあとに何が出てくるか分からなかった。 だから、見られるようになっただけで一歩前進だと思っていた。

それから1年8ヶ月。 掘る技術は、確かに育った。 不安が出てきたときに、別の見方をいくつか置けるようになった。 関係を不安で潰すこともなくなった。

でも、掘る技術だけでは足りないことが、5月6日に分かった。 掘ったあとの蓋を、どう閉めるか。 閉めないまま現場に出るとどうなるか。 これは、2024年9月の自分にはまだ見えていなかった景色だった。

技術はひとつだけじゃ機能しない。 掘る技術と、閉じる技術。 深く触れる時間と、表面に戻る時間。 両方そろって初めて、ジャーナリングは現場に持ち込める形になる。

翌週からやっていること

5月6日以降、深く掘った朝は、勤務前に10分だけ別の作業を挟むようにした。 コードを書く、走る、皿を洗う。 内省と関係ない、手を動かす単純作業。

それで蓋が完全に閉まるわけじゃない。 でも、開きっぱなしよりはマシだった。 震える感覚が出る日は、明らかに減った。

たぶんこれも、しばらく続けながら変えていくことになる。 10分で足りない日もあるだろうし、別のやり方が見つかるかもしれない。 そのときはまた日記に書いて、また気づいて、また変える。

掘って、閉じて、現場に出る。 その流れを、もう少し丁寧にやれるようになりたい。

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